【アマビエ】予言獣の正体とは(都市伝説?)
予言獣「アマビエ(アマビヱ)」
アマビエ(アマビヱ)とは
新型コロナウイルス感染拡大防止の啓発のため、厚生労働省が若者向けの啓発用アイコンをホームページ上で公開しました。
この生き物は「アマビエ(アマビヱ)」という妖怪で、江戸時代に肥後(熊本県)の海から姿を現し、「疫病が流行した際は、私の姿を描き人々に見せよ」と語ったと伝えられています。このことから、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、マスコットとして採用されたようです。
歴史的背景
アマビエの目撃は、1846年。この年は丙午(ひのえうま)で厄年とされ、火災が重なったり「丙午生まれの女性は夫を喰い殺す」という迷信が広がったことから、女の嬰児が間引きされたという話が残っています。このような背景から、丙午の前後において何らかの怪異が多く目撃されたと思われ、アマビエもその中の1つなのでしょう。
時期は江戸時代後半、数年前に天保の大飢饉があったり、百姓一揆や打ちこわしが多発したことで、幕府は天保の改革を行いました。黒船来航が1853年なので、その少し前といった時代です。
アマビエの画像
アマビエがマスコット化した理由
ゲゲゲの鬼太郎に登場
このアマビエ(アマビヱ)を始めて見たという人も多いと思いますが、すでに以前からアニメキャラクターとして登場しており、知る人ぞ知る妖怪でした。
漫画家水木しげる氏の「ゲゲゲの鬼太郎」では、2007年(平成19年)9月30日放送の第26回「妖怪アイドル!? アマビエ」で登場。近いうちに起こる出来事を予知する能力がある設定で、第62話では自分の憧れる人間のアイドルのために奔走し、心の支えとなりました。
なお、水木氏の描いたアマビエは、下記のように原画に忠実な再現となっています。
アマビエのイラスト
「アマビエ」です。水木しげるの原画を撮影しました。
江戸時代、熊本の海に現れ「疫病が流行ったら私の写し絵を早々に人々に見せよ」と言って海中に姿を消した妖怪、というより神に近い…もの。
現代の疫病が消えますように。 pic.twitter.com/0P7HfyRe8h— 水木プロダクション (@mizukipro) March 17, 2020
アマビエ(アマビヱ)の原文
瓦版のアマビエ(アマビヱ)
インターネット上には、アマビエに関し様々な情報にあふれており、正確な情報が見当たりませんでした。そのため、当ページでは京都大学附属図書館が収蔵している原文に当たってアマビエの真の姿を検証してみます。
原文
肥後国海中に毎夜光物あル所有役人行
見るニづの如く者視ス私ハ海中ニ住アマビエト申
者也当年より六ヶ年の間諸国豊作也俣
病流行早々絵ニ写し人々ニ見せ給えと
申と海中へ入水候右ニ写役人より江戸に
申来ル写也
弘化三年四月中旬
訳文
肥後国の海中に、毎夜光る物がありました。
役人が行ってみると、この図のような者が
「私は海中に住むアマビエと申す者なり。
今年より6年の間豊作になるが、病が流行する。
早く絵に写し、人々に見せよ」
と話すと海中へ消えてしまいました。
それで、その役人がこの絵を江戸に持ってきた次第です。
1846年4月中旬
アマビエ(アマビヱ)の解釈
瓦版のアマビエ(アマビヱ)
インターネット上のアマビエには様々な解釈があり、その情報は多岐にわたっています。しかし、アマビエに関する記録はこの瓦版1点のみとなっているため、原文を解釈するのが一番でしょう。
アマビコ説
類似する5件の妖怪(「尼彦入道(あまびこにゅうどう)」「海彦(あまびこ)」「尼彦(あまびこ)」「あま彦」「天日子尊(あまひこのみこと)」)が「アマビエではないか」と解釈されています。
しかし、「尼彦入道」は鳥のようで9本足、「海彦」は頭に3本の足、「尼彦(あまびこ)」は毛だらけ、「あま彦」は猿のよう、「天日子尊(あまひこのみこと)」は4本足で、いずれもアマビエではないと断言できます。
予言獣ではなく利益もない説
「早々に私の姿を写して人々に見せよ」と告げるがその御利益は明言していない、前節と後節が直接にはつながっていない、というのがこの説の根拠。
しかし、わざわざ毎晩海中を光らせ、役人が来たら姿を現して絵に描いて広めるよう語ったものの、それに何の利益もないとなると、「いったいアマビエ(アマビヱ)は何のために姿を見せたのか」という事態になってしまうので、深読みせずすなおに前節と後節をつなげるのが自然です。
さらに、熊本県から江戸へ長旅をして絵を持って行ったくらいですから、少なくともアマビエ(アマビヱ)を見た役人はご利益を信じて263里(1,034.7km)もの長旅を決行したと思われます。
SNSで拡散したアマビエ
厚生労働省の狙い通り、アマビエは若い人を中心にSNSで拡散しました。ハッシュタグ「#アマビエ」「#アマビエチャレンジ」「#アマビエ祭り」などで広がっていて、イラストや漫画、動画、ぬいぐるみ、刺繍、フィギュア、スタンプ、こいのぼりなど多くのジャンルに進出し、拡散が続いています。
厚生労働省の担当者は、「自覚がないまま感染を広げる危険性が高いことを知ってもらい、拡大を予防してほしい」と話しており、緊急事態宣言による自粛の意識を高めるのにアマビエが一役買った形となりました。
アマビエのイラスト
【お知らせ】以前 #アマビエ タグでツイートしたイラストを、大分県の一番運輸(株)さまがなんと会社の長距離トラックにプリントしてくださいました!病気の退散を祈って、荷物とアマビエを載せて全国を走ります。見た方が少しでも楽しい気分になってくれれば幸いです。 pic.twitter.com/xoIsPIvCUn
— 東京モノノケ (@tmnk_illust) April 8, 2020
【動画】予言獣「アマビエ(アマビヱ)」
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