
目次
FXとは何か
身近なFX
みなさんは、テレビやラジオで「現在、為替は1ドル100円10銭から13銭の間で推移しています。」といったようなフレーズを耳にしたことはありませんか?
これは「為替取引」と言って、アメリカで発行されている「ドル($)」と日本の「円(¥)」を買ったり売ったりできる取引のことです。
ドル円をはじめとした為替の動向は、私たちの生活や日本経済にも大きく影響するので、テレビや新聞などで取り上げられることが多いのです。
この為替取引は、外貨預金やMMFに代表されるように、資産運用の1つとしても位置付けられているのですが、その中に「FX」と呼ばれる取引手法があります。
FX=為替取引ということ
数万円から為替取引が可能
FXとは「Foreign eXchange」の略で、日本語では「外国為替証拠金取引」という意味です。
FXをもっと簡単に言ってしまえば、先ほどの為替取引を行うことができる仕組みのことになります。
FXでは、アメリカのドルと日本の円だけでなく、ユーロやイギリスポンド、オーストラリアドルや南アフリカランドなどのさまざまな通貨を取引することができます。
通常、為替取引は数十万円から数百万円の資金が必要なのですが、これを一般の投資家にも参加しやすいように「1万ドル」などへ小口化して、数万円程度の証拠金でも行えるようにした金融商品がFXなのです。
通貨を取引するとは?
2通貨間での両替
通貨を取引する、と言っても最初はピンとこないかもしれません。
例えば、アメリカに旅行に行くとします。アメリカの通貨は「ドル」なので、日本の「円」は使えません。
そこで、空港などの両替窓口で「円」を「ドル」に交換しますが、それはつまり「円を売って、ドルを買う」ことになるのです。
そして、この時の交換比率が「為替レート」と呼ばれていて、もし「1ドル=100円」と単純であれば分かりやすいのですが、ドルと円をはじめ為替レートは変動相場制と言って、外国為替市場における外貨の需要と供給の関係に任せて自由に決められるという制度になっています。
つまり、ドル円は今日1ドル100円だったとしても明日には1ドル101円になっているかもしれないし、あさってには1ドル99円になっているのかもしれないのです。
もっと正確に言うと、為替は秒単位で目まぐるしく動いているため、たった数分程度で1円上下することもあります。
FXの市場規模は株式の市場規模と比べて約70倍以上あり、150兆円市場とも200兆円市場と言われています。それだけ多くの取引が行われているということですから、急激に動いたときは注意してください。
しかも、輸出や外債投資のような「実需」の取引は、総取引のわずか2~3割程度にしかすぎず、残りの7~8割は「投機」が主な要因となっています。
円高・円安とは?
円の価値がどうなるか考えてみよう
為替と言えば、「円高」や「円安」といった言葉を抜きに語ることはできません。
ドル円が上がると円安、ドル円が下がると円高… なんだか分かりにくいですね。
でも、円高と円安は、為替取引だけでなく私たちの普段の生活や企業決算と切っては切れない関係にあります。
円高・円安を分かりやすく言うと、円高は「ドルに対して円の価値が高くなる」こと、円安は「ドルに対して円の価値が安くなる」ことを言います。
円高とは?
例えば、1本1ドルのボールペンがあって、ドル円レートが1ドル100円だったとします。 この時、100円払えば1本1ドルのボールペンを買うことができます。
もしこれが、1ドル50円の円高になったとすると、さっきは100円出してぴったり買えたものが、今度は50円で買えるので、50円のおつりが返ってくることになります。
つまり、ドルに対して円の価値が上がった、と言えます。この場合、安く仕入れできる輸入企業に有利で、米国へ売っても弱いドルになってしまう輸出企業が不利です。
円安とは?
逆に、1ドル120円の円安になったとすると、これまで1ドルのボールペンが100円で買えていたのに、今度は+50円した120円を用意しないと買えないことになってしまいます。
この場合は、ドルに対して円の価値が下がったことになります。米国へ売れば強いドルになって戻ってくる輸出企業が得をし、仕入れが高くなってしまう輸入企業に不利です。
円高と円安の関係
円高の場合だと、円が強いので輸入品や原材料などを安く買ったり海外旅行に行った時の支払いが安く済みます。
逆に円安だと、海外で物を売った輸出企業がドルを円に換える際、売り上げが同じなのに日本円の額が増えるので輸出企業に有利ということになります。
そして日本の場合、大企業をはじめ輸入よりも輸出に頼っている企業が日経平均株価の指数を構成しているため、円高よりも円安の方が有利に働きます。
1ドル100円の時、2万ドルの車を1台売ったとすると、日本円に換算すれば200万円ですが、円高になって1ドル80円になってしまうと、同じ車を同じ金額で売ったのに1台160万円になってしまいます。
例えば、トヨタ自動車は1円円高に動くだけで500億円以上の利益を失う、と言われています。
だからと言って、資源や食料品の多くを輸入に頼っている日本の場合、急激に円安が進んでしまうと物価が上昇して家計を圧迫してしまいます。
そのため、円高が良いのか円安が良いのかは、対象が輸出企業か輸入企業なのかによって変わってきますので一概には言えません。
ただ、日経平均株価を構成している企業は輸出中心の企業が多いため、為替が円安に振れると日経平均株価は上昇しやすくなっています。
為替の3大市場
大きく3つの市場に分かれる
為替取引が活発に行なわれている、東京市場・ロンドン市場・ニューヨーク市場は、合わせて「三大市場」と呼ばれています。
東京市場は午前8時から午後15時、ロンドン市場は16時から25時、ニューヨーク市場は 21時から翌朝5時までとなっています。
為替取引は、東京市場、ロンドン市場と徐々に盛り上がっていき、ロンドン市場が終わるころからニューヨーク市場の前半にかけてが最も為替が動く時間帯となっています。
日本人に有利なFX
このニューヨーク市場が始まる夜の21時以降という時間帯は、日本ではみんなが家に帰ってゆっくりくつろいでいる時間帯でもあります。
1日の中でも、最も落ち着いて何かに集中できる時間帯に活発に動くFX。FXが、仕事から帰ったサラリーマンや家事がひと段落ついた主婦に人気があるのも頷けますね。