【リスクオンとリスクオフ】地合いに応じてトレード通貨を使い分けよう
マーケットの雰囲気を表す金融用語
マーケットの雰囲気を表現
毎日変動しているマーケットですが、テクニカル的な要因やファンダメンタルズのほかに、その雰囲気で方向性が決まることがあります。
マーケットニュースでは、「リスクオンムードで円安株高になりました」とか、「リスクオフでリスク回避の動き、株が売られ円や債券、金が買われています」といった表現がされます。
元々は、地合いが良い、あるいは地合いが悪いと言っていたのですが、2008年のリーマン・ショック以降、金融用語として浸透してきました。
市場が様々な要因で動いているなか、投資家の心理で形成されている側面も大きく、〇〇ショックや〇〇危機となどといった相場が大変動する時期を経たことで、その影響力はさらに増してきています。
リスクオンとリスクオフ
リスクオン | リスクオフ | |
---|---|---|
ドル円 | 上昇 | 下落 |
株式 | 上昇 | 下落 |
原油 | 上昇 | 下落 |
金 | 下落 | 上昇 |
債券 | 下落 | 上昇 |
利回り | 上昇 | 低下 |
景気 | 良い | 悪い |
リスクのオン(取る)とオフ(回避)
言葉の説明になりますが、リスクオン(Risk on)とは、経済や企業の成長期待が高まったり、株式や新興国通貨など値動きの大きいリスク資産を買う動きのことを言います。
反対に、リスクオフ(Risk off)は、経済成長や企業業績へ先行き不安が高まったり、地政学的リスクが勃発した時などに、株式や新興国通貨など値動きの大きいリスク資産を手放して、比較的安全性の高い債券や金などに資金を振り分ける状態を言います。
リスクがオンなのに良い状態、リスクがオフなのに悪い状態を示すなどややこしいですが、言い方を変えると「リスクオンはリスクを取りに(オン)行く」、「リスクオフはリスクを回避(オフ)する」と表現できます。
マーケットの値動きでは、リスクオンは円安株高で原油が買われ、金と債券が売られて金利は上昇、リスクオフは円高株安で原油が売られ、金と債券が買われて金利が低下、という傾向になります。
全体的な特徴として、リスクオンはじり高で長く続く傾向が強く、リスクオフは地政学的リスクなどで急速に下落する動きが見られます。
通貨別に見るリスクオンとリスクオフ
通貨ごとに異なる値動き
これを、FXで見てみましょう。FXでは様々な通貨が取引できますが、それぞれ値動きやスワップポイントに違いがあるので、動きが明確に異なります。
通貨別に示すと、リスクオンは ハイリスクハイリターンの新興国通貨や高金利通貨、資源国通貨に資金が流れ、リスクオフの時はローリスクローリターンの通貨に資金が流れる状態になります。新興国通貨とは、南アフリカランドやトルコリラなど金利を高くして資金を集めている国の通貨、高金利通貨や資源国通貨は豪ドルやNZドルなどオセアニア通貨です。
リスクオンの時、これらの通貨は金利目当てに上昇、まとまった買いが入ったり、下がっても買戻しが入りやすいためじり高傾向となります。
円とスイスフランは特別
リスクオフで買われるローリスクローリターンの通貨は、円とスイスフラン。
ドルに関してはやや難しくて、リスク回避で有事のドル買いとなる一方、米国株安が進むとドルも売られます。リスクオンでドルが買われることもありますし、株高が進みすぎるとドル売りとなることもあり、方向の分かりづらい時があります。
全体的な傾向としては、株高ドル高、株安ドル安となることが多いです。そうならないときもあるので、短期的な動きよりも中長期で見た方がいいです。
円とスイスフランは完全に安全資産として見られているため、〇〇ショックや〇〇危機が起きた時、もっとも強い通貨となります。株安で円高、株高で円安となるので、普段のニュースでもよく見る組み合わせだと思います。
ややこしいのが、円高は円が強くなるというのを言葉どおりに受け取ってしまうと、訳が分からなくなるところです。
例えば、国内で大きな地震が起きたとすると、日本経済が弱くなるから円も弱くなり、円が売られて円安になる、と思われがちですが、実際には円高となります。これは、株が大きく売られるとリスク回避の動きになって、安全資産である円が買われるからです。
だから、日本が弱くなると円安、日本が強くなると円高になる、という風には見ない方がいいです。円安株高、円高株安、と見ればよいです。
これはスイスフランも同じで、永世中立国であるスイスの通貨ですから、リスク回避時に買われ、リスクオンの時は必要ないので売られます。
また、有事のドル買いでドルストレートは対ドルで下落、ドル円の場合は円買いの方が圧倒的に優勢となるため円高になります。
通貨ごとの特徴
通貨 | 種類 | 特徴 |
---|---|---|
新興国通貨 資源国通貨 | 南アフリカランドやトルコリラ、メキシコペソなど | リスクオンはじり高、リスクオフで急落 |
高金利通貨 | オセアニア通貨、カナダドル | リスクオンで上昇、リスクオフで下落 |
安全通貨 | 円・スイスフラン・ドル | リスクオンは売られ、リスクオフで買われる |
リスクオンとリスクオフのまとめ
はっきり二分化される
左側のリスクオン、リスクオンということは、経済や企業の成長期待が高く円安株高、原油や通貨の利回りが上昇、比較的長い上昇トレンドとなります。
通貨は、リスクの高い方から、トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランド、豪ドル、NZドル、カナダドル、ポンド、ユーロの順番です。
右側はリスクオフで、地合いが悪くなった時。経済成長や企業業績への先行き不安が高まったり、戦争などの地政学的リスクが勃発した、円高株安の地合いになって、短期的に急落するような状態になります。このとき買われるのは、安全資産として日本円とスイスフラン、ドルに関してはその時々によって、米国の関り具合によって変わります。
普段のトレードでも、こういった関係を考慮して取引していただければ、役に立つと思います。参考にしてみてください。