【米利回りとドル円の関係】地味に重要、トレンドが分かる!
米利回りとドル円の関係
米10年債利回りチャート
米国債とはなにか
ドルを動かす要因は様々ありますが、直接影響を及ぼすものに米国債と米利回りがあります。
米国債とは、アメリカが借金をするために発行する債権のことで、米国債の流動性は高く、S&Pの信用格付けもAA+と高いです。
この米国債は、価格によって利回りが上下に変動し、利回りが上昇すればドル買い、低下すればドル売りになるため、ドルの動きに直結しています。
日本とアメリカの金利の金利差が広がれば、「日本円を持っているより米ドルを買った方が得だ」となるので、円が売られてドルが買われて円安ドル高になります。逆に、アメリカの金利が下がれば、「円を買い戻して米ドルは売るか」となって、円が買われてドルが買われる円高ドル安になる、という仕組みです。
米国債は償還期間によって3種類に分かれていて、投資家の売買が活発で投資家の動向がよく分かる、米10年国債を見るのが一般的です。
Reasury Bills(ビル):償還期限1年以下の短期国債
TreasuryNotes(ノート):1年以上10年以下の中期国債
Treasury Bonds(ボンド):10年超の長期国債
全体的な傾向として見る
実際のニュースでは、FOMCやFRB議長の会見時など、米国の政策方向が判明するような重要な場面でよく米利回りの動きが取り上げられます。
この米国債は安全資産なので、平時に買われることが少ない反面、地政学的リスクの高まりなどでリスク回避の動きが高まると買われだし、対照的に米利回りは低下します。
大まかな流れですが、リスクオンムードになってくると米国債が売られ(=米利回りが上昇)、利回りが上昇するのでドルが買われ、債券で運用するより株を買った方が効率が良いため株高になります。
一方、リスク回避の動きが出ると、安全資産である米国債が買われ(=米利回りが低下)、利回りが低下するのでドルは売られ、株は値下がりリスクが出るため株を売って安全資産の債券を買う、という傾向があります。
「いや、そこまでは分かってるけどそうならない時もあるよ」という人もいるかもしれません。もちろん、常にこのパターンの動きになるわけではありません。なぜなら、その時々によって市場参加者の注目度やトレンドが異なるからです。
例えば、ヨーロッパでEUに関する問題が取り上げられればユーロ主体で動きますし、中国関連のニュースが出れば貿易相手国である日本やオーストラリアへの影響度の方が強くなり、米ドルと米利回りの関係は後回しにされます。
とはいえ、全体的に長い目で見ると上図のような傾向が見られるので、参考にすると良いでしょう。
米10年債利回りのチャート確認方法
GMOクリック証券の比較チャートが便利
いざ米10年債利回りを見てみようと思っても、表示できるFX会社はほとんどありません。今のところ、GMOクリック証券プラチナチャートで表示でき、さらにドル円などと比較できるので、使いこなせるようになると便利です。
下の比較チャートを見ていただければ分かるように、ドル円と米10年債利回りのトレンドと動きはほぼ同じで、相関係数も0.55~0.95と強めの正の相関となっています。
つまり、米10年債利回りとドルの関係を追っていくことで、トレンドを把握することができるのです。
比較チャートの設定方法
プラチナチャートの設定の仕方は簡単で、画面上部のパネルの表示から「比較チャートの追加」を選び、比較したいチャートを追加すると、最大4つまでのチャートを比較できます。
FXネオのカテゴリには為替、CFDは金や原油など、指標のところに米10年債利回りがあるので、比較チャートに追加したいものをそれぞれ選んでください。
より詳しく、「ドルのトレンドを見る方法|米利回りとドルインデックス」という動画でも解説したので、こちらもご覧ください。
通常の米10年債利回りチャート
なお、GMOクリック証券の口座を持っていない場合は、Investing.comやブルームバークでログインなど必要なしに確認可能なので、まずはこちらで確認してみてください。
Investing.comの米10年債利回りチャート
ブルームバーグの米利回り一覧
米国債と米利回りはなぜ逆に動くか
ややこしい所を分かりやすく解説
このように、米国債を見ればドルのトレンドが分かるのですが、利回りが上昇すると債券価格が下落し、利回りが下落すると債券価格が上昇する、という逆相関の部分がややこしいので、敬遠する人もいるかもしれません。
理屈は知らなくても米利回りだけ見ていればよいのですが、仕組みの分かったほうがイメージしやすいと思いうので、ここで簡単に説明します。
利回りが上がると債券価格が下がる仕組み
例えば、元本100万円で利率2%の5年で償還される債券を持っていたとします。
「100万円×0.02×5年=10万円」なので、5年後に10万円受け取れます。
しかし、途中で急遽現金が必要になり、売らないといけない事情ができたとします。
この時、市中では金利が上昇して3%になっていたとすると、「100万円×0.03×5年=15万円」と先ほどの10万円よりも受取額が大きい状態になります。
もし、先ほどの2%しか利回りのない債券をそのまま同じ値段で売ってしまうと、「10万円(2%)-15万円(3%)=-5万円」となり売り手側は5万円損してしまうので、同じ100万円で売りたくありません。
同じ条件にするには、足りない5万円分を債券価格から引いて値引きして売らないと釣り合わないので、「100万円-5万円=95万円」とすれば、「それならいいよ」と売っても良いと判断できます。
つまり、利回りが上がると債券価格が下がることになります。
利回りが下がると債券価格が上がる仕組み
逆に、市中の金利が低下して1%になっていたとすると、5年後の受け取りは「100万円×0.01×5年=5万円」となります。
すると、先ほどの利率2%で10万円の利息が付く債券を買うなら、債券の売り方からすると「10万円-5万円=5万円」で損してしまう分の5万円分を上乗せしないと釣り合わないため、「100万円+5万円=105万円」で「105万円なら売ってもいいよ」となります。
ここで、利回りが下がると債券価格が上がることになります。このように、利回りが上昇すると債券価格が下落し、利回りが下落すると債券価格が上昇するのです。
純粋なドルの強弱「ドルインデックス(米ドル指数)」
米ドルのみを指数化した数値
他にも、米ドル自体の純粋な強弱を表すドルインデックス(米ドル指数)があります。
これは、複数の主要通貨に対する米ドルの為替レートを指数化したもので、連邦準備制度理事会(FRB)やニューヨーク商品取引所(NYBOT)、大手金融機関などが算出、採用通貨や加重平均のウェイトに若干の違いはありますが、いずれもドルの強さを表しています。
使い方は簡単で、ドルインデックスにトレンドが生じているか、それともレンジなのか、トレンドが反転しそうか、あるいはブレイクしそうなのかなど、ドルを中心とした相場観の構成に役立ててみてください。
単純に、ドルインデックスが上昇していればドル買い、下落していればドル売りと判断できるほか、クロス円やドルストレートなど他通貨とドルの強さを比較してトレードすることも可能す。
ファンダメンタルで変化があった時も動きますので、他指標や通貨動向と組み合わせてみると良いでしょう。