【MT4】大損したFX自動売買のEAにブチ切れ!
巷にあふれるインチキEAに注意!
大損したEAの実名を公開します
今回は、インチキEA、インチキFX自動売買の見分け方について解説します。
インターネット上では、よくMT4による自動売買で勝率90%以上、資産がすぐに2倍、3倍になると謳っているEA(エキスパートアドバイザー)の自動売買システムが販売、あるいは配布されています。
しかし、これらのEAの多くはインチキで、高額なものを売りつけたあとはそのままサポートセンターごと消えたり、無料でもIB(Introducing Broker)による手数料収入を当てにしたものがほとんどです。
最近では、高性能なAIを導入した画期的なシステムだと言っているものもありますが、EAを作成する言語のMQLでは比較的単純な物しか作れず、AIを作るなど夢物語です。
もしかすると、外部のサーバへアクセスするなど組み合わせて高度なシステムにすることもできるかもしれませんが、個人的にはAI自体、たいしたことはできないと考えています。
強制ロスカットの嵐で退場
インチキEA「BlackBox」
下記は、今回暴露するインチキEA「BlackBox」のリアルトレード結果です。
サポート担当者に相談したところ、「追加入金して様子を見てください」と言われたので追加入金、その後強制ロスカットされ残高がマイナスへ振りきれました。
このEAは「BlackBox」という名前ですが、販売者によって自由に名前を決めることができるそうで、別名で売られているはずなので注意してください。
AIはウソの代名詞
やや都市伝説的な話として、2045年にAI、人工知能の能力が人類を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)が到来する」と言われていますが、個人的には来ないと思っています。
なぜなら、プログラムは元をたどれば0と1の羅列なので、できることに限界があるからです。
AIや人工知能という言葉を聞くと、人間の力の及ばないところまでコンピュータは進歩したんだな、と思うかもしれませんが、全然大したことないです。
IFによる条件分岐やFORによる繰り返しで、人工知能ではないです。
AIの定義の中に機械学習も含まれている場合があるので、これをもとにAIだと行ってくる場合もありますが、厳密にはやはり異なりますから、AIと機械学習は区別して考えた方が良いと考えています。
今回は、シンギュラリティの話ではないのでこの話はまた別の機会にするとして、インチキEAの見極めと対策には、次のようなチェックと対策をやってみてください。
- 恣意的なバックテスト期間
- 勝率が高すぎる → コツコツドカン
- マーチンゲールに注意
- パラメータ操作によるカーブフィッティング
- 取引回数が多い → IB目的
- フォワードテスト(できれば1年以上)
- ある程度手動で停止する
資産がマイナスへ振りきれたインチキEA
ぱっと見は優秀なEA
ここでは、先日リアルトレードでライブ配信をして残高がマイナスに振りきれてしまうほどボロ負けしてしまった、インチキEA「BlackBox」を研究材料に使います。
このEAをもらった時は資産がすぐ2~3倍になる、という触れ込みでした。まずチェック項目の1つ目、恣意的なバックテスト期間について。
例えば、こちら。グラフを見ると、右肩上がりの素晴らしい出来となっています。
100万円投資して、3か月で13万円利益が出ています。下には取引履歴も表示されているので、これを見た人はすぐほしくなってしまうと思います。
バックテストの期間をごまかす
ただ、これはインチキで、バックテスト期間を変えると結果が変わります。
例えば、今回は5月の結果を見せたくなかったのでわざと入れませんでした。今度は、5月の取引も入れてみます。
グラフは、序盤で急落して崖のような形になって、後半にかけては先ほどのような伸びを示しています。100万円投資したとすると、40万円近く失うことになります。
レポートを見ると、プロフィットファクター0.61と、先ほどとは全く異なり損益の分岐点である1を割れてしまいました。
マーチンゲール手法は絶対ダメ
いつか破たんするシステム
このシステム、一応少しずつ損切りするロジックにはなっているのですが、ポジションの取り方がマーチンゲール手法なので危険なこともあります。
マーチンゲールとは、もともとギャンブルで使われていた手法で、たとえばルーレットで赤か黒に賭けた時負けてしまったら、次にかけ金を2倍にする、というものです。
例えば、ルーレットで2分の1になる場所へ$1賭け、1回目で外れたとします。
2回目に、2倍の掛け金となる$2を賭けて当たれば、$4ドルの払い戻しとなり、掛け金を除くと$+2になるため、最初の1$の損失を引けば$+1勝ったことになります。
もし、1回目、2回目も外れてしまったら-3$の損失、次に$2の2倍の4$かければ、$8の払い戻しで掛け金を除くと$+4の勝ちとなるので、$-3の損失を引けば$+1勝ちます。
このように、何回連続しても1回だけ勝利すれば一気に取り戻せる賭け方なので、ルーレット必勝法と言う人もいますが、実際には20回以上連続で赤が出ることもありますし、ルーレットでは掛け金の上限が必ず定められているので、いつか破たんします。
この手法が今回テストしているEAにも使われていて、さすがに2倍にするとリスクが高いため、倍率を抑えてロット数を増やしています。
しかし、根本的なロジックはマーチンゲールと同じなので、負けが連続するといつか破たんすることになり、それが5月に起きたというわけです。
この手のEAは非常に多く、マーチンゲールとバックテスト期間の操作を組み合わせると最強のEAが簡単に出来上がってしまうので、きれいな右肩上がりのいかにも儲かりそうなEAを見た場合は注意してください。
カーブフィッティングも邪道
ポンコツEAがハイスペックになるマジック
あと、バックテストを行う際、エキスパート設定からパラメーターを設定してバックテストを行うことができるので、本来は悪い結果なのに都合の良い結果へ変えてしまうこともできます。
これは、カーブフィッティングと言います。
テクニカル指標の値を調整したり、このEAの場合だと連敗数を設定できるのですが、こういったパラメーターの値をいじって、うまく5月のロスカットが起きないような値を探して、最強のEAに見せかけることもできます。
いずれ同じような場面が来れば、今度はロスカットされる可能性も出てくるため、この手の調整は見分けるのが難しいかもしれません。
IBにも注意
あと、今回騙されたEAのように、トレードに使用する時間足を1分足にして取引回数を多くするのも問題がある場合があります。
IBと言って、取引されればされるほど紹介者にアフィリエイト報酬の入る仕組みがあるため、必要以上に取引されるEAもあります。
単純にスキャルピングのEAであればそれほど問題はないのですが、IB目的だと無理にトレード回数を増やした分、いずれ問題の起きる可能性が出てきます。
インチキEAの見分け方とその対策
見分ける2つのポイント
では、こういった問題を解決するにはどうしたら良いか、仮にEAのロジックの詳細を聞いても、プログラムが売買するため対策にはなりません。
そこで、対策としては、①フォワードテストを行う、②手動で停止する、の2点が挙げられます。
- フォワードテスト(できれば1年以上)
- ある程度手動で停止する
フォワードテストを行う
①のフォワードテストとは、バックテストではなく実際に稼働させてみてその挙動を確かめることを言います。バックテストはあくまで過去のチャートによる確認なので、本当にそう動くか分かりません。
先ほど述べたように、カーブフィッティングを行えばどうにでもごまかせます。
そこで、フォワードテストを数か月、できれば1年くらい行うことをお勧めします。
興味のあるEAが、すでにフォワードテスト済みで現在進行中なのであれば、そういったEAが良いです。
自動売買に任せっぱなしにしない
ただ、見ているとそれも2~3年で更新の途絶えてしまうものがほとんどなので、完全自動売買と言うのは難しいのだと思います。
そこで2つ目として、ある程度手動で停止する、ということをおすすめします。
EAの挙動がおかしくなるタイミングとして、米雇用統計やGDPのような重要経済指標が発表されるときや、要人発言でマーケットが荒れた時などが挙げられます。
そういったイレギュラーは基本的にEAのロジックが役に立ちませんので、人間が自分で判断して、手動で止めるしかないです。
人間の判断も入れよう
最近では、経済指標発表の前後に自動で止まるEAも出てきていますが、同じ米雇用統計でも、その時の環境や地合いで注目度の高い時と高くないときがありますので、やはり人間が判断した方が良いです。
つまり、FXの自動売買といっても、100%プログラムに頼るのではなく、そこに人間の判断も組み合わせて使っていくのが一番だと僕は考えています。
これまで色々試してみたのですが、楽をしたいから自動売買に任せっぱなしにしてしまうと必ず失敗してしまうので、やはりFXと自動売買、EAの研究は続けていかなければならないと思います。
コメント