【米雇用統計を攻略!】ファンダメンタルズ分析の活用方法
事前にトレンドを確認しておく
ファンダメンタルズについては、ファンダメンタルズ分析のページで述べましたが、今回はその活用方法になります。
まずは、基本的なこととして、結果が良いか悪いかよりも予想値との乖離が材料になることや、それによる
サプライズの発生などを意識しておいてください。
それで、ファンダメンタルズ分析の活用の仕方ですが、あらかじめトレンドを確認したあとに経済指標の結果を利用する、という方法になります。
よく、「経済指標の結果が予想を上回ったのに通貨が下落」したり、あるいはその逆で「経済指標の結果が悪かったのに通貨が上昇した」という場面に出くわすことがあります。そのような経験をしてしまうと、「こんな意味の分からないFXなんか勝てないから、やめてしまえ」と思ってしまうかもしれません。
しかし、そのように逆の動きをするには理由があります。
どういうことかと言うと、上昇トレンド中だと経済指標の内容が悪くても下がりづらく、下降トレンド中だと経済指標の内容が良くても上がりづらい、という傾向があるのです。
つまり、経済指標は基本的には予想値との乖離を見て売買材料にするのですが、その前段階としてもともとのトレンドを確認しておく必要があるのです。
経済指標発表後の動きの特徴
まとめると、下記のようになります。
上昇トレンド中は、経済指標結果が良いとその通貨が買われ、悪くても下げが限定的だったりいったん下がったあと買戻しが入ります。
下降トレンド中は、経済指標結果が悪いとその通貨が売られ、良くても上げが限定的だったりいったん上がったあと戻り売りに押されます。
そして、上昇トレンド中で経済指標結果が良かったのに「織り込み済み」とされて通貨が買われなかったり、下降トレンド中で経済指標が悪かったのに「悪材料出尽くし」とされ通貨が売られなかった場合は、今後トレンドが反転したりいったんそのトレンドが調整となる可能性もあると判断します。
米雇用統計時の攻略法
ドル円5分足
ドル円日足
例えば、米雇用統計時の例を見てみましょう。
この時発表された米2月非農業部門雇用者数は、予想18.0万人に対し結果2.0万人と大幅に下回っていました。かなりインパクトのあるネガティブサプライズを受け、ドル円はドル円は111.15円から110.80円まで急落しました。
しかし、その後は行って来いとなって元の位置に戻り、むしろ若干発表前を上回っています。
なぜかと言えば、この時期のドル円は安値からの反発中で、もともと上昇トレンドだったことと、 単月の結果ではなく翌月以降を確認したいとの思惑が、反発を誘ったからです。
これが、下降トレンド中であれば大暴落なのですが、マーケットは上昇トレンドでリスクオンムードだったので冷静さを保った結果となりました。
とはいえ、この原理を知らなくても、毎回米雇用統計を見ているトレーダーであれば、初動で-30銭ほどしか下げていないのを見てショートするのはためらうはずですし、仮に地合いが悪ければ-1円下げもありうる内容だったと思います。
このように、事前にトレンドをチェックしておくことで、たとえトレンドに逆行する結果が出てしまっても、ひとまず買戻し(あるいは戻り売り)の動きが出るので、焦ってトレードする必要はないのです。
米雇用統計の攻略法
ADP雇用統計を必ずチェック
「なんだ、結局予想値と結果を見て判断するだけか」と思われる人もいるかもしれませんが、なんと発表前に結果が予想できる重要経済指標があります。
それは、政策金利発表の次に重要度の高い米雇用統計です。
なぜなら、米雇用統計であれば、発表される2日前の水曜日に米ADP社が発表する雇用統計がその先行指標として利用できるため、ある程度予測が可能だからです。
つまり、水曜日に発表されるADP雇用統計の数値が良ければ週末の米雇用統計(米非農業部門雇用者数)も良い可能性が高く、ADP雇用統計が悪ければ米雇用統計もあまり期待できないことになります。
もちろん、ADP雇用統計と米雇用統計の結果が連動しないこともあるのですが、ADP雇用統計が前回値からやや離れた結果となった場合は米雇用統計も同じ方向へ連動する可能性が高いです。
もし、ADP雇用統計が予想値付近だった場合は、参考程度にとどめておいた方が良いでしょう。
数値は連動して当然
管理人が以前、FX攻略.comというFX雑誌に同様の記事を執筆したところ、「そんなのはありえない」といったんボツにされ、実際にADPと米雇用統計を比較し60~70%程度一致していることをデータで示して、ようやく掲載許可が下りたこともあります。
とはいえ、調査機関や対象が異なるだけで同じ雇用に関する経済指標なのですから、むしろ結果が違っている方がおかしいです。もしかすると、FX攻略.comのメインテーマの一つであるテクニカル分析が完全に否定される内容だったので、掲載するのをためらったのかもしれません。
他にも、米雇用時計は毎月第1営業日に発表される米ISM製造業景況指数の結果とも連動しやすいため、合わせて確認するとより効果的なので、試してみてください。
あらかじめエントリー方向を決めておく
ここまでの理論をどうトレードに活かすかですが、具体手には上昇トレンドでは買いからしか入らず、下降トレンドでは売りからしか入らない、という使い方をします。
つまり、上昇トレンド中は経済指標が予想を上回った時に買いエントリー、下回った時は様子見か押し目買い、下降トレンド中は経済指標が予想を下回った時に売りエントリー、上回った時は様子見か戻り売り、ということになります。
もちろん、結果とは逆に動くこともあるのですが、トレンドに沿ったエントリー方向だと戻りが発生するのでダメージが少なくなります。
また、経済指標発表後に一度行って来いとなることもあるので、トレンドに沿っているのであれば、発表されて少し時間が空いてからエントリーしても間に合うこともよくあります。
特に米経済指標発表で多いのですが、発表された直後はほとんど動いていなかったのに、30分くらいすると突然まとまった注文が入り始め、それでようやくFX関連ニュースに「経済指標を好感した買いが入った」などとニュースが流れます。経済指標が発表される前から注目しているトレーダーであれば、「いまさら何を言っているんだ」と思うかもしれませんが、そんな感じであまり急いでエントリーしなくてもよいことが意外にあります。
むしろ、焦ってしまうとタイミングを間違えてしまったり、スプレッドの開いているとき約定してしまうので、結果が出たあと冷静になって、株や商品など外部環境も動きも考慮して、エントリーするか決めると良いでしょう。
なお、これは要人発言も同じで、こちらもいったん前戻しになったりするので、落ち着いて対処してみてください。
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